そもそも物質主義者とはなんのこと?
物質主義者は、しばしば「消費主義者」とも表現されます。
これは、物的な所有物や消費活動に高い価値を置く人々を指す言葉です。
他にも「物質的価値を重んじる人」という表現や、「物質至上主義者」という言い方もあります。
これらの表現は、物質主義者が物的なモノへの依存度が高いという特性を強調しています。
物質主義者が自律性が低いとされる理由を掘り下げてみましょう。
物質主義とは、物的所有や消費に高い価値を置く生活態度や価値観のことを指します。
一方、自律性とは、自分自身の行動や決断を自分でコントロールできる能力のことを意味し、心理的健康の重要な要素の一つです。
物質主義者の心理特性
物質主義者は、外的な報酬や他人の評価に強く影響されやすい傾向にあります。
このような特性は「外的動機付け」と呼ばれ、個人の行動が外部からの報酬や承認を得ることを目的としていることを示します。
外的動機付けが強い人は自分自身の内部的な価値や興味に基づいて行動するよりも、外部の評価に依存しがちです。
これが自律性の低下につながるとされています。
- 憧れの有名人が所有しているものに憧れる
- 広告の商品が欲しくなる
- インフルエンサーのおすすめ商品がよく思える
- みんなが持っていると自分にも必要なものであるように感じてしまう
- 流行に乗れていないとダサい
あの人がこれを持っているからおしゃれ!テレビでやってたから私も欲しい!など広告、インフルエンサー、流行に振り回されてしまうことになってしまいます。
それらを繰り返すうちに自分で思考・考察する力がドンドンと衰えていきます。
自分ブランドをある程度は持ち合わせつつ、世間の流行や有名人からインスパイアされるというのであればいいのですが、思考停止で真似しかできないようになってしまうと今後一生消費の奴隷となってしまいます。
また流行りから少しでもそれると、恥ずかしくて街を歩けないとか、〇〇を所有してないと一人前じゃないといった外部(企業、メディア、インフルエンサー)の作った枠に収まろうとしてしまいます。
自分に自信を持って、自分のブランドを作り上げるくらいの気持ちで過ごしてみましょう。
自律性の低下の社会心理学的背景
自己決定理論(Self-Determination Theory)によると、人間は自律性、有能感、関連性の三つの基本的な心理的ニーズを持っています。
物質主義者は、これらのニーズを物質的な所有や消費を通じて満たそうとしますが、これは一時的な満足に過ぎず長期的な心理的健康や満足感を損なうことが知られています。
物質主義者が経験する可能性のある一つの問題は、「空虚感」です。
物質的な所有物に依存する生活を送ることで一時的には幸福感が得られるかもしれませんが、時間が経つにつれて新しい物への興味は薄れ、結果的には不満や虚無感を感じることがあります。
このようなサイクルは、自己決定の能力を弱め自律性の低下を引き起こします。
手に入れた瞬間飽きてしまったという経験はないでしょうか?
- 有名無名問わず商品を比較検討してみる
- 自分が贔屓にしている有名人、インフルエンサー以外からの意見も取り入れる
- 世間からベタ褒めされている商品であれば、飛びつく前に批判的な意見の情報も勇気を持って収集してみる
- 手にいれる前に自分で考察してみて必要か考える
- 手にいれる前に自分がどのようなメリットを享受できるか考える
手に入れるまでの過程の紆余曲折、自分の思考がないと感動や所有欲が満たされにくいです。
自分で考察しながら、これは自分にとって利益をもたらすから購入しようとか、考えた結果役にたつイメージが湧き購入に至ったものなどは所有欲が満たされやすいです。
なんとなく宣伝されていたから買うという行為では解決しない問題です。
いやいや思案しているよという人もいますが、それもまた宣伝の方法次第でそう感じさせられているだけという事例が多いです。
選択肢を与えて、それを選ばせるだけで消費者は自分が考えて選択したと思いがちなのです。
一部の仕様を変えてバリエーションを持たせる手法です。
選ばされているのはあくまで、用意された選択肢、枠組み内からになるので思案の幅は狭いです。
これに気がつけない人が結構いる。
正直考えるのは大変なので、消費者にとってもありがたいことではあるが…それを利用している商法だ。
物質主義の社会的影響と自律性
社会的影響も物質主義者の自律性に影響を与える要因です。
消費文化の中で生きる私たちは、常に新しい製品や流行を追い求めるように生きています。
このような環境では、個人が自分自身の本当の欲求や価値を見極め、それに基づいて行動することが困難になる場合があります。
他人との比較による消費競争は自己評価を物質的成功に依存させ、自律性を損なうことに繋がります。
現代ではSNSの発展もあり、自分と同世代や年下が圧倒的な成功を収めているところを目にすることも多いと思います。それらのインフルエンサーたちのキラキラ生活を目の当たりにしてしまうと、やはり自己肯定感が下がります。
金銭的に届かないような商品や不動産がとても良い物として紹介されたり、宣伝広告されるとそれを手に入れることができない自分にがっかりして自己肯定感が下がるというロジックです。
自分に自信があって、自分ブランドを持っている人は燃えたり手に入れるのに頑張る可能性があります。
しかし自分に自信がない、思考していない、流されるのみの人であれば大半が手に入れようとはせずに、ただただいいなぁと思うだけで終わってしまいます。
物質主義と精神健康
長期にわたる研究では、物質主義が精神健康問題と関連していることが示されています。
不安、抑うつ、自己の価値感の低下など多くの精神的な問題が物質主義的な価値観と強く関連しています。
不安、抑うつ、自己肯定感の低下に関しては上記に挙げた要因が絡み合い、発症に繋がっていきます。
これらの心理的な問題は自律性をさらに低下させる要因となり個人が自分の人生において主体的な役割を果たす能力を弱めます。
結論
物質主義と自律性の関係は複雑で多くの心理的、社会的要因が絡み合っています。
物質主義がもたらす一時的な満足感とは裏腹に、長期的な自律性の低下や心理的な健康問題を引き起こす可能性があるため、私たちは本当に価値のあるものに焦点を当て、自分自身の内なるニーズに耳を傾けることが重要です。
物質主義から距離を置くことで、今より確実に健康的で自律的な生活を手に入れることができると思います。
少しずつ改善していこう。